ソーシャルメディア時代のリスクマネジメント

ソーシャルメディア関連を専門とするリスクコンサルタントが、企業のリスクマネジメントについて書いています。

【ソーシャルリスクマネジメント体制を作れ!】その2 「ネット炎上に備える体制」は、「ネット炎上を起こさない体制」であるという話

前回は、「炎上した時だけ慌ててコンサルを呼んできても意味ないよ」というお話をしました。

大事なのは、「炎上に備える体制」を作ることなのだと。

 

ですが、このように言うと

「起こるか起こらないかも分からない、むしろ起こらない可能性の方が高いネット炎上のために、リソースを割いて体制を作るなんて割に合わない」

という感想を持たれる方が非常に多いです。実際に体制を作っていない会社様ほど、このようにお考えになる場合が多いように思います。

 

逆に、すでに体制を整えている会社様は、実は日々の業務の中でこの「体制」を活かして業務をなさっているケースが多いので、「割に合わない」とお考えのケースは少ないように思います。

もちろん、そのような体制を活かしている会社様が、年がら年中炎上しているわけではありません。

では、炎上が起きるわけでもないのに、どうして日々の業務にこの「体制」が活かされるのでしょうか。活かせるシチュエーションなど、あるのでしょうか。

 

その答えは、「ネット炎上に備える体制」は、ネット炎上が起きた時だけに稼働するものではない、ということです。

 

「ネット炎上に備える体制」は、消火器ではありません

「炎上に備える」というと、どうしても「炎上が起きた時に早期に鎮火する」ことを目的としているように感じてしまうため、ビルに備え付けられている消火器のように、「使わないもの」というイメージを想起するかもしれません。

が、実際には、炎上が起きた時にだけ稼働するのではなく、炎上を起こさないように日頃から活用するのが「炎上に備える体制」なのです。

 

というのも、企業を対象としたネット炎上とは、ネット上で公然と可視化されたクレームがソーシャルメディアなどを通じて拡散した状態のことを指すのですから、常日頃からクレームに対して真摯に向き合う体制こそが「ネット炎上に備える体制」なのです。

 

多くの企業で、お客様センターに寄せられたクレームは関係部門にシェアされ、当該顧客の問題解決に当たるとともに、必要であれば根本的な課題解決のための施策に取り組んだりというスキームが用意されていると思います。

そのスキームの始点として、お客様センターへのクレームだけでなく、ソーシャルメディアに書き込まれている不満・苦情も想定することがその第一歩です。平たく言えば、ちゃんとソーシャルメディアに書き込まれた声を拾って、商品やサービスや組織運営の改善に生かしていきましょう、ということです。

 

「なんだ、そんなことか」

とお感じになったかもしれません。

はい、そんなことなのです。

 

ただし、ソーシャルメディアが一般化する以前と現在とでは、クレームに起因するリスクの在り方が全く異なるため、ソーシャルメディアの声を拾って生かしていく際に気をつけなければならない独特の注意点があります。

 

ソーシャルメディア時代のクレーム対応

ソーシャルメディア以前であれば、消費者が企業にクレームを入れても、消費者側は他に同じクレームが存在するのかどうかすら知ることができませんでしたし、逆に企業側からすれば、個々の消費者クレームをその場その場で対応していれば何とかなったわけです。

あくまで発信力を持つのはマスメディアであり、そのマスメディアに醜聞を書き立てられたりしなければ、個々の消費者個人の範囲を超えて社会的な問題にまで発展することはほぼありませんでした。

 

それが、ソーシャルメディアが一般化した現在、その場しのぎのクレーム対応を個別の消費者に対して行うこと自体が、危険を孕む行為となってきました。

ソーシャルメディア上では、商品やサービスに対する不満や憤りを気軽に発信できる上に、自分と同じ不満や憤りを感じている人を簡単に見つけることができます。つまり、消費者の不満や憤りは、消費者個人の問題を超えて、公知の事実になってしまうということです。

そんな時代背景を考えれば、企業側が消費者の不満や憤りに対して取るべき態度は、その場しのぎの誤魔化しではなく、真摯に向き合うことです。

 

先に書いたとおり、ネット炎上とは、「ネット上で公然と可視化されたクレームがソーシャルメディアなどを通じて拡散した状態」なわけですから、拡散する前に真摯に対応すれば、炎上にまで至らずに済むのです。

 

その「真摯に対応」するための体制こそが「ネット炎上を起こさない体制」であり、「ネット炎上に備える体制」そのものなのです。

 

次回は、「真摯に対応」するための「炎上に備える体制」について、より深掘りしていきたいと思います。