ソーシャルメディア時代のリスクマネジメント

ソーシャルメディア関連を専門とするリスクコンサルタントが、企業のリスクマネジメントについて書いています。

ネット炎上は、対象によって特性が異なる

企業のネット炎上を考えた時、例えば、ダレノガレ明美さんが一眼レフのカメラを買っただけで発生した炎上(http://news.livedoor.com/article/detail/14183078/)などは、企業の炎上対策を考える上ではほぼ無益な情報です。

企業の炎上パターンと、このダレノガレ明美さんの炎上とには、明確な違いがあるからこそ参考にならないわけです。(それは、皆様にも感覚的にご理解いただけると思います。)

 

では、企業の炎上とダレノガレ明美さんの炎上とには、具体的にどのような違いがあるというのでしょうか。

本稿では、この個別の件について論じるのではなく、炎上のパターンを類型化することによってその答えとしたいと思います。

 

炎上の対象は3つの「型」に分類できる

炎上のパターンは、以下の3つの「型」に分けられます。

  1. 有名人・芸能人型
  2. メディア型
  3. 一般人・企業型

細かいことを言えば、この3つに当てはまらないパターンとして公立の小中高校などが挙げられるのですが、ここでは割愛します。(どうしても気になるという方は個別にご連絡ください。)

 

1.有名人・芸能人型」は、芸能人、国会議員、タレント化した学者など、テレビで活躍するタレントから、Youtuberやアルファブロガーのようなネット有名人まで、自分の名前を売ることで仕事をしている人たちの炎上パターンです。

 

2.メディア型」は、テレビ局や新聞社、出版社、閲覧者数の多いネットメディアなどの炎上パターンです。

テレビ局の場合、番組に芸能人を起用したりしていることから「1」のパターンも内包しますが、最近特に顕著なのは、放送内容や記事のファクトチェックや、コンテンツの倫理問題などの、メディア独特の課題に起因する炎上が多いので、メディア以外の企業と分けて考えるのが良いでしょう。

 

最後、「3.一般人・企業型」は、一般人や一般企業のほか、各種団体なども含まれます。

 

3. 一般人・企業型」とそれ以外との違い

この3つの「型」ごとの特色を浮き彫りにすることにより、企業のネット炎上対策に資する視点を獲得するのが本稿の狙いですが、ここではさらに論点をシンプルにするために、「3」と「それ以外」に分けて論じたいと思います。

端的に、「3」と「それ以外」は何が違うのか。

ズバリ、ウォッチャーがどれぐらい張っているのか、が違うのです。

 

ウォッチャーとは、「watcher」、つまり「見ている人」です。

芸能人や有名人の言動に対しては、熱心なウォッチャー(ファンもアンチも含め)が注目しています。(でなければ、芸能人の公式ブログのような、わざわざ見に行かなければ視界に入ることの無いような場のコメント欄が荒れることはありません。)

同じく、メジャーなメディアも、多くの人が「watch」します。(メディアは、多くの人に見られるのが商売ですから。)

 

これに対し、一般人や一般企業を常日頃から「watch」している人は多くありません。(ごく一部の例外はありますが。)

つまり、「1」「2」については、なんでもないことでも多くの人の目に触れることで批判の種を見つけられやすい状態に晒されているわけですが、「3」については、普段から注目をし続けている人はそれほど多くないでしょう。

もちろん、一般の市井の人々に比べ、企業は知名度があります。大企業になれば、知らない人はいないと言っていいぐらい、知名度は高いでしょう。ですが、知名度と「watch」されていることとは別な話です。

 

たとえば、みんさんは普段、ご自分の仕事と関係のない特定の企業に関する情報を、毎日毎日追っていますか? 

ほとんどの方は追っていないと思いますし、追っているとすれば、よほどその企業が好きか、株でも買っているか、その企業の公式アカウントの発信が面白いかのどれかでしょう。ほとんどの人にとって、ほとんどの企業は「watch」の対象ではないのです。(だからこそ企業は、わざわざ多額のお金をつぎ込んでプロモーションを行うわけです。)

 

つまり、芸能人やメディアは、アンチも含め多くの人が「watch」しているため共通の話題になりやすく、批判もされやすいという側面があり、他方、一般企業は有名企業であってもそれほど「watch」している人が多いわけでもないので、それが多くの人にとっての「共通の話題」になるためにはそれなりの障壁があり、ましてやそれが批判の対象として「共通の話題」たり得るのはよっぽどのことだということです。

このことを念頭に置かずにネット炎上対策をすると、的外れな対策となる可能性が高くなるので注意が必要です。

 

なお、ここでは、「3」に含まれる「一般人」については敢えて話題から外しました。

一般人の炎上については、バイトテロのように企業に関係するものと、個人が個人として炎上するもの(不法行為などをおこなった個人が炎上し、その際に就業先などが割れなかった場合など)とにパターンが分かれますが、前者はあくまで「企業」の問題と考えてリスクマネジメントするべき課題ですし、後者については企業として対処をすることは無いと思いますので、わざわざ細かい解説をするまでもないと考えています。

 

次回は、企業の炎上とそれ以外の炎上とで、それぞれ炎上するネタの傾向について深掘りしていきたいと思います。